Meno mosso!!!

2011年7月23日 閉鎖

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泣けない涙《第22話》

久々の小説更新です。

久々すぎて元々どんな話だったか忘れちまったよ(おい




まぁ、頑張りますか。
そ…そろそろ…終わるかな…?

どぞ。






←第21話




目が覚めた。


今はいつなのだろう…。
最早恒例とも言える言葉を思い浮かべながら体に力を入れた。

指一つを動かすのもやっとで、拳を握れるようになるのにかなりの時間を要した。


だが、今回は起きる必要はない。
そんなことをする時間ですらないからだ。

声さえ出せれば良い。



肺から空気を出して喉を振るわせる。
長年使われていなかったそれから出たのは声にならないかすれた音だった。

水が欲しい。

そう思った直後に病室の扉がカラカラとゆっくり開いた。

入ってきたのは女性で、髪の毛を若干余らせて後ろで縛っている。
オレンジ色のカーディガンのような服を上に着ていて、下にはそれと相反するかのように真っ青なジーパンをはいていた。
懐かしいながらも少しだけ大人びたその顔は俺を安心させる何かを纏っていた。
「ひ……ぁ…り…」

とても驚いた顔を見せながら光はベッドに近づいてきた。
そして光は俺の傍に来ると急いで手をすばやく動かしてきた。

「わ……か…ん………ぇ…よ…」
首を一瞬傾けたあとにハッとした顔をしてポケットからメモ帳を取り出してペンで何かを書いた。
『大丈夫?』
と少し乱れた字で書かれたそれは短いながらも俺を元気にさせた。

もっとしっかり見たかったのに直ぐにひっくり返されてまた何かを書きだした。
『大丈夫?   おはよう』


「……お…はよ………う」










光に頼んで母さんと遠藤さん、それと父さんに病室に来てもらった。

「あ、どうも泰知クンの担当医をやらせて貰っています。遠藤です」
「これはこれは…いつも大変ありがとうございます」
今さらながら遠藤さんと父さんは初対面だった。

普通ならとっくの昔に会っていてもおかしくはないのだが、父さんは家の生活費に加えて俺の入院費・手術費を稼がなくてはならないから全く会えていなかった。本当に申し訳ないと思う。
それにしても父さんと最後に会ったのはいつだろう。
入院が決まってからはずっと仕事に行っていて見舞いに来たのはせいぜい2~3度程度だったから下手したら10年近く話していないことになる。


久々に見る皆の顔に少し緊張しながら俺は話しだした。
「時間が…ないから短く……話す…」

「このまま居たって、多分、この病気は止まらない。それで…植物人間になっちまう……」
淡々と話す俺を皆は黙って見ている。

「だから………」















「だから……俺が動けなくなったら…死なせてくれ……」

「………え?」



病室に沈黙が訪れる。


「…どう言うこと……?泰知…?」母さんが声を震わして俺に問いかける。
「だって!……だって俺が植物人間になってもまだ生き続けようとしたらバカみたいに金がかかる!もうそんな苦労父さんたちには掛けたくないんだよ!!!」
「金の事なら心配するな!父さんがもっと働けばいいだけの事だ!!」
「父さんが以前よりも痩せてきているのは俺が見ても分かる!その内過労で倒れてもおかしくないだろ!!?」
「………っ!」


「死んでまで、誰にも迷惑掛けたくないんだよ…!」





扉が勢いよく開いた。
「………死ぬって…どういう事だよ…」

そこに立っていたのは英知だった。


「…英知?」そう俺が問い掛けると同時に英知は俺に迫ってきた。
「答えろよ!死ぬって、どういう事だよ!!!」
「…迷惑掛けないために死ぬんだよ……」
「………!」

そこで英知に思いっきり胸倉を掴まれる。

「ふざけんな!勝手に死ぬなんて許さねぇぞ!!?」
「…………」
「兄貴は死なない!死なないんだ!!!」
「…俺は不死身じゃねーよ……」

「兄貴はずっと俺の横に居ろよ!そんであの時みたいにバカな話聞かせてくれよ!」

「苦労掛けさせない前に人を悲しませんじゃねーよ!!!」
そう言った英知の目には涙が溜まっていた。
「英知…」

英知はベッドのシーツを持ったまま膝から崩れ落ちた。
「…簡単に死ぬなんて言うなよぉ……」


俺は溜息を1つ吐いて英知の頭を掻き回した。
「泣くなよ。泣いたらまたバカにされんぞ?」
「だって…だってさ……」嗚咽を交えながら英知が喋る。



「…確かに人を悲しませたら駄目だよな……」また俺は話し出す。

「でもな、だからと言って俺はみんなの重りにはなりたくない」
「…重りになんかなってねーよ!」英知が必死に弁解する。

「いや、どうせなる」
「…………」


「…遠藤さん」
「僕は君の意見をできるだけ尊重しよう……ご両親はいかがなされますか…?」
「……息子がそう言うならそうしましょう………」
父さんの肩は震えていた。
生かしてやりたい自分の身勝手さと救ってやれない不甲斐なさに苛まれていた。

「それじゃあ、泰知クン。君がまた気絶すると同時に決行させてもらうよ…」
「はい」
「………本当に…申し訳ない…。キミを必ず助けると言っておきながらなんにもできなかった…」
「いいえ、遠藤さんは僕にとても優しくしてくれました。それだけで十分です」
「…すまない……」




光はとても悲しそうな目をして俺を見ている。
「…そんな目ぇすんなよ。な?」
『なんで勝手に決めちゃうの?』
「……ゴメン」
『ゴメンで済まないと思う』
「…すいません」
『そういう問題じゃなくて…』

『私が手術する時ずっと話していたいって言ったよね?』
「…………」
『だったら生きていてよ。希望があるなら、諦めないでよ。』
「………ゴメン」

突然、光の目から涙がこぼれ出した。
何かを言いたげな顔をしているが、手が震えて上手く書けていない。






「………ごめんな…」

俺は最後にそう言って涙をこぼした。







そして、気絶した。











だが、絶望はしていなかった。












最後に、本当に、幸せだったと思うから。







『泣けない涙』 完
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| 小説 | 23:06 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

完結オメデトー

内容は甘酸っぱくてほろ苦い青春小説って認識でいいのかな?

それよりも次回作こそ『パブロフの犬』やってくれよ

| 未確認動物 | 2010/03/22 00:49 | URL |

完結お疲れ様でした!

おもしろかったです
24時間TVを思い出しますなんか

| わかば | 2010/03/22 10:37 | URL |

うpお疲れ様です
そして完結おめでとうございます

いやー面白いお話でした、シリアス(?)だったけども・・・
次回作、期待してますよ!^o^b

| 紅蓮 | 2010/03/22 14:59 | URL | ≫ EDIT

>未確認動物
いやーありがとー。

うん、そんな認識でいいんじゃないのかな?
アン・ハッピーエンドだし。

それは投票で決めますw


>わかばさん
えぇ、本当に疲れましたよ…。(遠い目

ぇ?なんで24時間テレビ?
やべぇ。本気で分かんない…。 (゜Д゜;)


>紅蓮さん
ありがとうございます。

そう言って頂けるとやった甲斐がありますよ。^^
次回作も恒例の投票で決めようと思ってます。

| 色波 | 2010/03/22 15:06 | URL |

お疲れー
よくこんな長くやったな!
量だけじゃなく、質もあったと思うー。

面白く読ませてもらいました
次も頑張れ!!

| 紅白パンダ | 2010/03/22 22:26 | URL |

>紅白パンダ
何だかんだで最後まで付き合ってくれてありがとう!

なにこの上から目せn(ry
おう、頑張るよー。

| 色波 | 2010/03/23 19:39 | URL |















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