Meno mosso!!!

2011年7月23日 閉鎖

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泣けない涙《第16話》

こんにちは。
そう、色波ですね。

まずは、3000HITありがとうございました。
これからもお願げーしますー(遅

さてさて今日も頑張って書こうと思いますよー。ウェッウェッ




それでは、どうぞ。

←第15話          第17話→




医者はゆっくり口を開いた。
「成功です。もちろん娘さんも、無事です」
「そ、そうですか!!良かった…」
「うぅ…」
光の母親はその場に泣き崩れた。
父親がその妻の背中に手を回している。

俺自身も、とてもうれしかったが、手術が成功した場合の対価を思い出していた。

光の声が出なくなるのだ。





病室のドアは誰でもどうぞと言わんばかりに大きく開いていて、中の様子が丸見えになっている。
4つあるベッドのうちの窓側の場所。光のベッドだ。

「光、おはよう」
俺が声をかけると、見ていた本から顔を上げた光がこちらを見てきた。
ぎこちない手つきで手を動かす。
右手を握りガッツのポーズを取り、両手の人差し指を胸の前で折り曲げた。
『おはよう』という意味だ。

「えっと……こうか?」意味も分からず、適当に光の真似をする。
声は出ないけど、光は笑っていた。


手術から数日、声が出なくなった光は手話を覚えようとしていた。
筆談という手もあるのだが、覚えるだけでいいからと光は頼み込んだ。

俺はベッドの横の椅子に座って光の前にある本を覗き込んだ。
手話の本で中には人のイラストが描いてあって、手を胸の前で構えている。その下にはその手話の意味が書かれてあった。
「これ…覚えられるの…?」と苦笑いしながら光に問いかけると、グッと親指を突き立てながら歯を見せて笑った。

…よくよく考えるとそれは手話だったのか?


それから、少しの間二人とも黙っていた。
ゆったりとした時間が流れていく。太陽の光が暖かい。
光は手話の本と自分の手を交互に見ながら手話を覚えようとしている。
どこか必死な感じを漂わせる光はとても強かだった。

「……その…ごめんな………」
俺の声に反応した光がこちらを向く。机の端に置いてあったメモ帳とペンを取って『何が?』と、丸っこい字を書いて俺に見えるように胸の前でメモ帳を構えた。
「いや…その、俺のせいで声が出なくなっちゃったようなもんだろ?それに、手話まで覚えさせちまって…。なんつーか…悪い……」
光はキョトンとした顔をして、紙に『泰知クンはなにも悪くないよ?』と書いた。
続けて、『手術を決めたのは最終的に私だし』と書いて微笑んだ。
「でも…」
『手話を習うのは私のエゴだよ!』
「………」
『私思うんだけどさ、手話って世界共通だよね』
「え?…ま、まぁそうなんじゃないかな…?」
『誰とでも話せる・笑い合える。これってすごい事だよね』
「うん…」
『私は自分の意思で動いたんだよ』
最後に、もう一度微笑んだ。

体が少しだけ軽くなったような気がした。


俺が光を励ますべきなのに逆に励まされてんなぁ…。







「じゃ、行こうか」遠藤さんがベッドに寝ている俺に言った。
「はい」
ベッドが看護士たちによって動かされていく。

「気をつけてね」母が言った。
「何を気をつけりゃぁいいんだよ」と笑って受け流した。

ベッドは廊下を流れていく。

途中で光が手話で何かを話していたが、動きながら見えるものでもなく、よく分からなかった。
多分、『がんばれ』って言ってくれていたのだと思う。
…何を頑張ればいいんだか……。


頭上にはかなり眩しいライトが光っている。
「必ず治すよ」遠藤さんが念を押すように俺に向かって言った。
「お願いします…」

麻酔が俺の睡魔に襲わせた。
そのまま、瞼をゆっくりと閉じさせた。


「おちました」
「はい。……それでは、手術を始めます」


俺の将来をかけた手術が始まった。
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| 小説 | 21:24 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

No title

いいと思う。
そろそろ佳境だけどファイト

| 紅白パンダ | 2010/01/25 18:27 | URL |

No title

予想ではあと2~3話くらいで終わる予定。
いつかもこんな事言っていたような…

| 色波 | 2010/01/25 19:08 | URL |















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