Meno mosso!!!

2011年7月23日 閉鎖

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泣けない涙《第15話》

はい。小説です。

よーし、頑張るぞー!(棒読み)





←第14話          第16話→




俺は白い湯気が立っているマグカップを凝視していた。
こう言うと少し語弊があるだろう。

正確には、考え事をしていたら目線がマグカップに落ちていた。

ふーっ。と肩を落としながら砂糖入れに手を伸ばす。
角砂糖を2・3個手でつまんでマグカップの中に落とすと、黒色の液体の中に溶けていった。
持ち上げて一口だけ飲んだ。

トーストを食べ終わると、考えるのやめた。



1時間後、俺は自転車で病院に向かっていた。
光に会う行くために。

正面玄関から少し離れた位置に自転車を止めて、夜間入り口から入っていった。

一階のガラス張りの大部屋には相変わらずたくさんの人がいる。
マスクをつけた親子連れ。
せわしない医者。
…げ、あの婆ちゃんたちまだ居るのか…。

光はその中の席取りデッドヒートが行われる日当たり抜群の席に座っていた。

ぼんやり眺めていると光の隣の席が空いた。
此れ幸いと、席を取りに来る老人達を押しのけて俺はその席に座った。

光はこちらを少しだけ見ると、驚いた顔をしつつも「泰知クン…久し…ぶり」と言って笑いかけてくれた。
そのまま光は俺が喋りだすのを待っている。

「……聞いてるかもだけど…俺、手術受けんだ」
「…うん……知ってる…よ?」
「それで家に一旦帰ったんだけどさ」
「うん…」
「弟に手術で死ぬかもって言ったら『ふざけんな』って怒られちまった…」
「……」
「手術に死なんてつき物だろ?」
「………」気付けば光は返事をしなくなっていた。

「…なのにさ、アイツ…泣いちゃってさ…」
俺は返事を待たずに話を続ける。
「死んで欲しくねーんだろうなーって…。大切な人には死んで欲しくないものなのかなーって…思って…」
「…………」
「だったら、俺も光に死んで欲しくねぇ…!」
「……!」
「…たのむ…!手術を受けてくれ…!」

光は嬉しそうな、恐ろしそうな複雑な顔をしていた。
手は喉元を撫でている。

「怖えぇのはすげぇ分かる!俺も怖いから!」
「……」
「俺は声が出なくなるなんて事ないけど……。でも、光には生きていて欲しい。生きて、それで一緒に笑い合っていたい!!!」

「…頼む……」

周りの音は全く聞えなくなっていて、二人はずっと沈黙だった。


ゆっくり開いた光の口から出た空気の揺れは俺の耳に入ってきた。
「………分かった…」
そうやって、いつもと同じように俺に笑いかけた。



光の手術は3日後に決まった。
俺の手術と違って複雑なものではないからすぐに出来るのだろう。


俺も、光も、特に何をするでもなく、早々と3日過ぎ去った。


俺の目の前には手を合わせて祈る男性と女性がソファに座っている。
光の両親だった。
薄暗い廊下には赤いランプだけが周りを照らし出している。

ただ、生きて欲しい。
それだけの理由で、しかも俺の独断で光を手術させてしまった。
それが少し後ろめたかった。光の両親は怒っているのだろうか。

女性は涙を流しているし、男性は動きたくなる衝動を必死で抑えて震えていた。


女性が目を上げた。思わず目をそらす。
「あなたは…?」
「え…あ、泰知です。池永泰知…」
「あぁ…。君が泰知君か」男性が立って近づいてきた。

「え?」
「君の事は光からよく聞いているよ…」
「そうですか…」

「その、光に手術を受けさせてくれてありがとう」
「……え?」
「君が居てくれて本当に助かった…」
「光は今までずっと判断をつけかねていたから…どうしようかと…」
「……でも、声が…」
「生きてさえいてくれればいいんだ」

赤ランプは少しだけ温かく見えた。



ランプが消えて、中から医者が出てきた。
光の両親が近寄る。
「先生!光は!?光はどうなったんですか!?」

医者がゆっくりと口を開けた。
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| 小説 | 18:07 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

No title

はい。ちゃんと心情や風景が描けてますねー
good

| 紅白パンダ | 2010/01/10 21:10 | URL |

No title

え、なに。上から目線!?www

| 色波 | 2010/01/10 21:28 | URL |















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